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概要
本書は、1944年7月に第二次世界大戦後の国際的な金融・経済体制について話し合うために連合国によって行われたブレトンウッズ会議について、会議の開催にいたるまでの過程、会議が開催された約三週間、そして会議で確立された体制が実施に移されて以降の世界経済の変遷を描いたノンフィクションである。特に第Ⅱ部と第Ⅲ部は、会議の準備段階でブレトンウッズ体制が築かれていく過程や、会議の会場となったマウント・ワシントン・ホテルで参加者たちが繰り広げる様々な混乱や人間ドラマを臨場感をもって伝えている。本書で描写されている会議での各国の振る舞いやそこに見られる国柄は、現在の社会に関して多くを物語っている。ブレトンウッズ会議によって誕生した世界銀行と国際通貨基金が設立される過程やその目的も様々なエピソードを交えて描かれている。また、準備段階を含め会議全体にわたって主役を演じたケインズとホワイトについては、著者は二人を対比させながら、その生涯を追っている。
ケインズが晩餐会で述べているように、各国が協力して共通の目標に向かって取り組み、新しい体制を築いたブレトンウッズ会議は、国際的な協働の実現であるとも言える。二十世紀から二十一世紀にかけての金融・経済史だけでなく、国際的な協働の象徴としてのブレトンウッズ会議の意義も示している本書は、貿易戦争やナショナリズムの台頭が見られる状況下、さらに気候変動や環境問題、天然資源、疫病、サイバーテロへの対応において国際協調が求められている今日において、よりいっそう示唆に富む一冊となっている。
2020年10月15日、国際通貨基金 専務理事 クリスタリナ・ゲオルギエバ氏は、「ブレトンウッズの時、再び(A New Bretton Woods Moment)
」と題する講演を行いました。新型コロナや、貿易戦争、領土問題、人種の問題、そして気候変動への対応など、国際的な協調が求められている今日、「ブレトンウッズ会議」の意義に改めて注目が集まっています。
2021年1月16日付の日本経済新聞の読書欄で、「この一冊」として、本書が取り上げられました。
目次
序言 ―― 一九四四年七月二二日、土曜日
第一章 マウント・ワシントン
第Ⅰ部 崩壊
第二章 苦い平和 ―― 一九一八 —一九年
第三章 短かった金本位制度の歴史
第四章 経済的帰結 ―― 一九二〇 — 三九年
第Ⅱ部 計画の作成
第五章 狂気じみた提案 ―― 一九四〇 — 四一年
第六章 狂気の大混乱 ―― 一九四一 — 四四年
第七章 ハリー・ホワイトの裏の顔
第八章 スネークバイト・パーティ ―― 一九四四年六月
第九章 車輪で運ばれるバベルの塔 ―― 一九四四年六月
第Ⅲ部 ザ・サミット
第十章 第一週 ―― 割当額戦争
第十一章 第二週 ―― 世界で最悪の議長
第十二章 第三週 ―― 最終的な協定
第Ⅳ部 ブレトンウッズの生と死
第十三章 大いなる不幸 ―― 一九四四 — 四五年
第十四章 飢餓の窮地 ―― 一九四五年
第十五章 すすめつわもの ―― 一九四六 — 四八年
第十六章 ブレトンウッズ体制 ―― 一九四七 — 七三年
終章 ―― 一九七三年以降
謝 辞
注 解
サミット ―― 訳者あとがき
原 注
索 引
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